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連載第1回 個人指導塾が良いのか、集団指導塾が良いのか

塾長の独り言 連載第1回 個人指導塾が良いのか、集団指導塾が良いのか

 子どもの算数の苦手分野を強化してもらえるのか。置いてきぼりにならずに授業についていけるのか。理解できないところを理解できるようにしてもらえるのか…。子どもの性格や能力や資質は、当然のことですがひとりひとり異なります。したがってわが子の能力や学力を伸ばしたいと考える保護者にとって、個人指導塾に通わせるべきかどうかというのは大きなポイントになっているようです。そうした風潮のためでしょう、「完全個別」を唄う塾を多く見かけます。

 

大事なのは「思考のアウトプット」

 ここで多くの方が見落としているのが「授業内で思考を表現する機会が多く与えられているか」という点です。思考表現というのは、端的には、自分の考え方をイメージや言葉で表現し、人を納得させようとする過程を指します。その思考表現の過程が、とくに算数においてお子様の思考力を飛躍的に向上させます。思考表現によって自分の思考を整理することができ、どこに無駄や矛盾があるのかを明確に認識できるようになるわけです。わたしはこの過程を「思考のアウトプット」と呼んでおり、これこそが算数を指導する上で「教わるインプット」よりもはるかに重要だと考えています。

ヒトの思考は「イメージ→言葉」

 まだ幼い子どもの表現は、始めはぼんやりしたイメージにすぎません。それを絵や図で描いてみることがきっかけになります。その経験の中でさまざまな思考整理の仕方を学んで身につけていくことになります。6才ころから言葉による表現を身につけていくことで、論理性が養われていきます。9才になるころから、言葉による表現を式による表現へと変換する訓練をしていきます。ヒトの論理性は、いつでも「イメージ→言葉」の過程をたどることで成り立ちます。イメージがなければ言葉で表現できない、言葉で表現できなければ式を立てられない…ということになるわけです。

では、どちらが良いのか…

ここで最初の問題に戻ります。個別指導塾が良いのか、集団指導塾が良いのか。それは、どちらの指導形態の方が、お子様に「思考のアウトプット」の機会をより多く与えられるのか…ということになります。

 個別指導塾では、教師が付きっきりで丁寧に教えてくれます。しかしそれは一方的な問題解説にとどまり、お子様はただ「うんうん」と頷いて聞いているだけかも知れません。「分かり易い授業」を信条とする教師によく見られる落とし穴です。しかし経験を積んだ質の良い教師なら、お子様にアウトプットを促し、何の解説をすることもなく、お子様にみずから正しい論理を導かせ正解を求めさせることも可能です。

 集団指導塾では、教師だけでなく他のお子様とのやりとりの中で「思考のアウトプット」の機会が存分に与えられます。とくに前に出たがるお子様には有利です。しかし内向的な性格のお子様にとっては、授業中は黙って聞いているだけの「インプット」に終始し、あまり効果は期待できなくなります。また教師そのものが「授業は黙って静かに聞くものだ」と子どもたちを抑えつけたり、逆に子どもたちが騒ぎすぎるのを抑えられず授業が崩壊するというケースも多々あります。

 わたしは30年以上にわたる経験の中で見てきています。本当に質の良い教師だけが、子どもたちの雰囲気を盛り上げ活発なアウトプットを促し、彼らの算数力を飛躍的に向上させていくということを。「思考のアウトプット」という視点からは、個別指導塾にも集団指導塾にも重大な一長一短があります。どちらが優れているのかということは、それだけで一概に判断することはできません。そこで塾選びの1つの基準として…十分な経験を積んで適切にアウトプットを促せる質の良い教師が指導するのかどうか。そうした質の良い教師ならば、カリキュラムの組み立てや宿題の内容や量についても適切に判断できるというのは言うまでもありません。

 わが子を担当する教師がどのような立ち位置で算数を教えるのか…。算数塾を選ぶ際は、個別指導塾か集団指導塾かに関わらず、その塾の指導方針や担当教師の指導の立ち位置を知っておく必要がある…ということです。

 

 

算数塾Arith塾長 斉藤太郎         

                 →次回に続く



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